もうすぐ完成!でも、なんかしっくりこない。
体と顔のバランスが気になる。
フィニッシュにもっていくのを止め、顔はほとんどそのままで、体を消すことにする。
今心に浮かぶままのシンプルな構図にしよう。
なおせる時がなおす時だ。
乳白色でまわりをかためて、そんな海の中にいるようにしよう。
静かにじっとして、乳の中にたたずんでいる、そんな気分で。
何枚か苦しまずに描いて、今この1枚に苦しむ。
完成予想の幻が、いくつも頭を横切っては消えていく。
描きたいことはいつも頭の中にしっかりとある。
この真四角のフォーマットにどうあてはめるかだけなんだ。
描くという行為が感情の発散に終わらぬように。
荒れ狂う感情を静かに画面に横たわせること。
考えるための散歩はしない。
俺はここに立ち、ここから動かずに目の前のキャンバスを見つめる。
気分転換なんてない。
一番大切なものが目の前にあるのだ。
過ぎ去っていく時間が惜しい。
一生かけて荘厳な交響曲を完成させるつもりは微塵もない。
短い曲に魂を込めて、しぼれるだけ自分をしぼって。
未来を語らず、今にすべてを注ぎ込め!
そしてベットに倒れこめばいい。
人にはそれぞれのやり方がある。
俺には俺のやり方がある。
自分のための絵なんだ!