絵を描くというのは、とても簡単なことだ。
でも、満足できる絵を描きあげるのは難しい。
呼吸して生きていることも、今は簡単だ。
でも、喜怒哀楽を一直線に感じて生きるのは、難しい。
時間は僕が生まれる前から同じ速度でずっと流れている。
その速度に時々追いつけなくなる。
またしても、蛍光灯に眼をつぶされそうになる。
白い壁が僕を圧迫する。
無気力、無感動の瞬間に次ぐ瞬間。
想い出を霧の中に隠してしまう。
ちょっとした先の未来が見える事は、けっして楽しいことじゃない。
あの時流した涙は、とっくに蒸発してしまったのか?
自分自身、からからに乾いてしまったのか?
この皮を切り裂けば、新鮮な肉があるのか?
時々、大きな欠伸をして、明日のことを考える。
眠くなってきて、今日は眠ってしまおうかと思う。
12年前、この身ひとつでこの国にやってきた。
生徒たちに名古屋駅、新幹線のホームで見送られ。
バイトで稼いだ全財産とカセットテープと共に。
自転車を買い、行き先もなく孤独に街を走り回った。
小さな紙切れに思いを描きまくった。
誰に見せるんでもないのに。
まぶたを閉じれば、ホームで小さくなっていく彼等がまだ見える。
今こそはっきりと眼を開き、再びあの気持ちでもって、今を見つめよう。
得体の知れないプレッシャーに負けてたまるか。
のほほんと知ったかぶりして語る日和者にはならんぜ。
そんなのはクソ爺になってからでいい。
負けない。自分に負けない。
あきらめずにキャンバスに向かえ。
壁に貼ったあの紙を、目の前に貼りなおせ。
NEVER FORGET YOUR BEGINNER’S SPIRIT !年寄り面して、ごろごろしてると腐っちまう。
時差ボケ面して、自分から逃げてちゃ腐っちまう。
腐るのは死んでからで充分だ。
人に感謝せよ。しかし頼るな。
やる気は自分の中から生まれなければ続かない、意味がない。