• Interview for Agencia EFE (Madrid, Spain)

    Q-1. ご自分の全作品(oeuvre)をどの様に定義しますか?

    A. 美術史や美術の批評的な文脈からではなく、幼いころの記憶や感情の反復や音楽などのサブカルチャーからの影響を受けたものが、世の中では美術(特にドローイング)とカテゴライズされる表現として表出してきたもの。自分の中では日記のように感じている。

    Q-2. 以前、「発表を前提として描いていない」と書かれましたが、なぜ気が変わり出版する(発表する)ことにしたのですか?

    A. 自分が好むと好まないにかかわらず、それを望む人達がいて、作者以上に作品を想ってくれていることを日々実感するようになったからかなぁ~。そして、作品を表面的に捉えたり、投資のために購入している人々の対極にいる純粋な鑑賞者の方々にとって、作品そのものよりも自分という人間を理解してもらえると思ったから。実際、Yeewan Koonは何度も行われた長い長いインタビューだけではなく、私が育った土地や、北国の小さなコミュニティも訪ねて、作家の感性がどのようにして出来上がったのか理解してくれた。

    Q-3. グレタ・トゥーンベリやラモーンズなどの実在人物を作品中に描くことがありますね。このように特定な人を選ぶ理由は何ですか?

    A. グレタ氏を知った時、自分は彼女を知る前、いや、彼女が生まれる前から彼女のような少女像を描こうとしていたんじゃないか?と感じて、妙に腑に落ちた。本に収められている落書きのようなグレタのような女の子のドローイングは、彼女自身というよりも全世界に生きる彼女のような若者の肖像だと思います。そして、ラモーンズなんかは実際に彼らの音楽を聴きながら「リスペクトしたい!」というファン心理が描かせたものだと思います。

    Q-4. 制作過程の中で音楽はどのような役割を果たしていますか?

    A. 制作過程というよりも、自分が生きてきた日常の中でいつも傍にあったものです。それは、文学や映画なども同じで、制作するために必要なのではなく、作家になる以前から、自分が必要としていたものなのだと思います。

    Q-5. 奈良さんは社会意識が高いアーティストですね。将来の作品はCOVID-19にインスパイアされると思いますか?

    A. COVID-19によって見えた世界中の人々のさまざまなリアクションや、ペストやスペイン風邪など、過去の大流行に人類がどうやって、医学的にというよりも人間的に立ち向かったかが検証されていくことで、COVID-19という固有名詞によるテーマではなく、人間として、あるいは自分個人として、作品の中に深いものを込めることができるのだろう、と前向きに考えています。

    Q-6. ドローイング、彫刻、写真… 他に作品に加えたいものはありますか?

    A. 子供の頃から落書きは大好きで絵日記のように描いていました。その時に短い文章を入れることもあったし、文章だけが小さな物語や詩のように独立して書かれることもありました。写真は10代の初めの頃から撮っていたし、どちらかというと絵(タブロー)や彫刻は20代から始めたものです。作品と呼べるレベルかどうかは関係なしに、今まで書きためていた詩を整理して発表してみたい気もします。